建設業における専任技術者を同一業種に複数人配置するべきか
2024/03/24
建設業においての許可要件に専任技術者の配置があります。
専任技術者とは、許可を受けようとする建設業にかかる建設工事に関しての指定学科卒業後に一定の実務経験を有する者や、建築士や施工管理技士などの一定の資格を有する者や10年以上の実務経験を有する者等で、営業所に常勤して専らその職務に従事する者のことをいいます。言わば建設業に関しての技術面でのプロということです。
専任技術者が必要な理由は、建築物は個々に違うため、発注者に不利益がないようその請負契約の適正な締結やその履行を確保するためです。
例えば、見積書を作成したり、工程表を作成したり、契約を締結したり、必要な手続きを取ったり、発注者との連絡を取ったりします。
専任技術者は「専任」となりますので各営業所に各々常駐して、その職務に専念することとなります。そのため、営業所ごとの兼務は認められませんし、基本的には現場には出ないということです。また、常勤を求められますで、名義貸しや事実上通勤不可能な者は常勤性を否定されます。営業所が複数あれば、その分だけ専任技術者も必要となります。
さらに、専任技術者は建設工事の業種ごとに配置する必要があります。例えば、これから建築工事一式と内装工事と大工工事の建設業許可を取得しようとする場合、それぞれの業種ごとに専任技術者を配置する必要があります。ただし、同一業者で同一営業所である場合に、建築士のような保有資格など必要な要件を備えていれば2種以上の専任技術者を兼ねることができます。例えば、同一業者で同一営業所に2級建築士の社員がいれば、その社員一人で建築一式工事・内装工事・大工工事の許可を受けることが可能となります。専任技術者になる方の資格などはよく確認したほうが許可を受ける際の必要書類の準備などの手間も減るため良いです。なお、詳細は各都道府県に確認しましょう。
さて、専任技術者は同一業種に複数人配置すべきかという疑問も沸いてきます。
これに関し、専任技術者は一業種に1名で良いと考えます。というのも、専任技術者になるということは、基本的には事務所に常駐することになりますので、例外を除き現場には出ないことを意味します。現場に出る社員が減るということも意味しますので、必要以上に専任技術者を配置すると現場への機動力が減るということになります。
また、都道府県によっては、専任技術者の配置は一業種に1名と決めている場合もあります。
なお、専任技術者が急に退職するといった心配もありますが、会社側は社員が、どのような資格を保有しているか、どのような実務経験を何年間積んでいるか等をきちんと把握し、どの社員がどの業種の専任技術者となる要件を満たしているかの管理をすることで、専任技術者の急な退職のときにも焦らず代わりの専任技術者を配置できるといった対応ができるはずです。
とくに中小企業は少人数ですから、専任技術者が急に退職されたときに、代わりの専任技術者の確保が大変な場合もあります。
なお、専任技術者の変更届は変更後2週間以内という期限がありますので、万が一、期限を過ぎると許可要件を満たさなくなりますので、このあたりも注意が必要です。
建設業許可の要件等は都道府県によって違いもありますので、詳細等は各都道府県の窓口で確認が必要です。
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