株式を相続した際の手続きから注意点までまとめて解説
2026/06/18
株式を相続する場面では、手続きや評価、税務上の扱いなど、現金や不動産とは異なる独特の注意点が多く存在します。名義変更の手順を間違えれば配当や議決権が受け取れなくなることもあり、評価方法や分割方法の選択次第で相続税の負担にも大きな差が出ます。
本記事では、株式相続に必要な手続きの流れから、評価・名義変更・分割方法、税金対策まで、段階ごとに分かりやすく解説します。初めての相続でも安心して手続きを進められるよう、具体的な実務ポイントと注意点を紹介しています。
新井孝典行政書士事務所では、日常生活や事業に関わる各種手続きのサポートを行っております。特に相続に関するご相談を多く承っており、遺言書作成や遺産分割協議書の作成、相続手続き全般を丁寧にサポートいたします。専門的な知識をもとに、お客様に寄り添いながら円滑に手続きが進むようお手伝いします。また、許認可申請や各種契約書の作成など、幅広い行政書士業務にも対応しております。初めてのご相談でも安心してお話しいただけるよう、丁寧にご説明いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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| 住所 | 〒336-0022埼玉県さいたま市南区白幡1-6-15 オフィスアルファー105 |
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目次
株式を相続した際に必要な手続きを解説
ステップ1:相続人確定と遺言書確認の詳細手順
相続手続きの第一歩は、正確な相続人の確定と遺言書の有無を確認することです。家族構成や親族関係が複雑な場合も、漏れなく調査することが重要です。
相続人調査の流れ
- 戸籍謄本の収集
- 遺言書の確認
- 相続放棄希望者の意思確認
遺言執行者が指定されている場合には、その人物が手続きを主導します。相続放棄があった場合、他の相続人の相続分が変動しますので、ケースごとに適切な対応策を見極めることが大切です。
相続人調査の必須書類と取得方法
正確な相続人確定には、被相続人の出生から死亡までの全戸籍謄本が必要となります。
主な取得手順
- 本籍地の役所で戸籍謄本を請求
- 改製原戸籍・除籍謄本も忘れずに確認
- 親族関係が複数地域にまたがる場合は各本籍地で取得
注意点
戸籍の記載不備や読み違いがトラブルの原因になりやすいため、慎重なチェックを行うことが重要です。
遺言書発見時の即時対応フロー
遺言書が見つかった場合は、内容の有効性確認が求められます。
有効性確認の流れ
- 自筆証書遺言は家庭裁判所で検認手続きを実施
- 公正証書遺言は検認不要
- 遺言執行者の指定有無を確認し、その指示に従う
ポイント
遺言書の内容によっては、相続分や株式分割方法に直接影響するため、発見した場合は速やかに対応しましょう。
ステップ2:株式調査と保有状況把握の方法
相続財産に株式が含まれる場合、まずは保有状況の正確な把握が欠かせません。
確認手順
- 証券会社から残高証明書を取得
- 証券保管振替機構(JASDEC)へ名寄せ照会
- 複数証券会社に口座がある場合は全社に問い合わせ
保有株式の種類や数量を正しく把握し、評価額を算出することがスムーズな手続きにつながります。
株券残存株の有無確認と電子化移行
紙の株券(株券残存株)が見つかった場合には、電子化手続きを進める必要があります。
確認ポイント
- 自宅の金庫、銀行の貸金庫などに株券が残っていないか確認
- 紙株券があれば、証券会社で電子化手続きを申請
注意事項
電子化されていない株券は売却や名義変更ができません。早急に対応しましょう。
NISA口座・特定口座の相続特例
NISA口座や特定口座に株式がある場合、相続方法や税金の扱いが異なります。
| 口座種別 | 相続時の扱い | 必要手続き |
| NISA口座 | NISA口座は廃止、特定口座・一般口座へ移管 | 移管手続き+証券会社への連絡 |
| 特定口座 | 通常の株式と同様に名義変更 | 必要書類を証券会社へ提出 |
源泉徴収あり・なしの違い
源泉徴収ありの場合でも、相続時は自動的に課税されることはありません。相続人が名義変更後に売却した際に税金が発生します。
ポイント
NISAは非課税枠が消滅してしまうため、特例内容や申告方法を事前に確認しておきましょう。
評価額の正確な計算方法:上場・非上場別の解説
上場株式の4つの評価基準と最低価額選択ルール
上場株式の評価は、相続発生時点での4つの基準価格のうち最も低い価格を選択して算出します。
| 評価基準 | 概要 |
| 相続発生日の終値 | 相続発生当日の証券取引所終値 |
| 相続発生月の毎日の終値平均 | その月の各営業日の終値の平均 |
| 相続発生月の前月の終値平均 | 前月の各営業日の終値の平均 |
| 相続発生月の前々月の終値平均 | 前々月の各営業日の終値の平均 |
実例
上場株式を100株保有していた場合、4つの基準でそれぞれ株価を計算し、その中で最も低い株価×100株が評価額となります。複数銘柄がある場合は銘柄ごとに個別に最低価格を選択できます。
配当期待権・未収配当金の評価加算
配当基準日が相続発生日以前で権利確定している配当は、「未収配当金」として遺産に含めて評価します。
配当基準日が相続日以降の場合は、配当期待権として評価額に加算せず、課税対象外です。これらの区分は税務署通達に準拠して判断します。
単元未満株・端株の評価調整
単元未満株や端株については、取引所での実勢価格を基に評価します。
端数株は市場価格がない場合、直近取引価格や証券会社の参考価格を適用します。
また、遺産分割時に端株が発生する場合は、現金換算も有効な分割方法です。
非上場株式の原則的評価方式3種(類似業種・純資産・折衷)
非上場株式は3つの方法から最適な評価方式を選択します。
| 評価方式 | 特徴・計算ステップ |
| 類似業種比準価額方式 | 上場企業の株価や利益率を基準に自社株を評価。業種・規模・財務状況を加味して算出。 |
| 純資産価額方式 | 会社の資産総額から負債を差し引き、発行株式数で割る。実質的な時価評価となる。 |
| 折衷方式 | 上記2方式を一定比率で組み合わせて評価。会社の事業内容や資産構成に応じて適用する。 |
同族株主グループの場合、議決権ベースで判定し、支配権の有無により評価方法が異なります。
特例的評価方式の適用条件と制限
非同族株主や少数株主の場合、簡易的な評価方式が適用できるケースもありますが、議決権割合や会社規模によっては適用できないこともあります。
評価方法選択時は、会社の定款、株主構成、過去の配当実績なども確認が必要です。
自社株・同族会社株式の事業承継税制特例
自社株や同族会社株式で事業承継を行う場合、一定の要件を満たせば納税猶予や免除の対象となります。
主な要件は以下の通りです。
- 後継者が事業を継続すること
- 申告期限までに特例申請を行うこと
- 一定期間の雇用維持や経営継続
この特例を活用することで、相続税・贈与税の納税負担を大幅に軽減できます。
制度利用には行政書士など相続手続きに精通した専門家のサポートを受けることが推奨されます。
名義変更の実務:証券会社・発行会社の手続きフロー
上場株式名義変更の必要書類と提出期限
上場株式を相続した場合、証券会社に名義変更を申請します。必要書類は以下の通りです。
- 遺産分割協議書:相続人全員の署名・実印と印鑑証明が必要
- 被相続人の戸籍謄本:死亡の記載があるもの
- 相続人全員の住民票
- 各証券会社指定の申請書類
有効期限や取得日の指定がある場合もあるため、早めに揃えておくと安心です。名義変更の提出期限に法的な決まりはありませんが、相続税申告期限(相続発生日から10ヶ月以内)までに完了させるのが理想です。
複数相続人の同時名義変更と手数料比較
複数の相続人が同時に株式を分割する場合、各自の証券口座への移管が必要です。主要証券会社の名義変更・移管手数料の比較は下記の通りです。
| 証券会社 | 手数料(概算) |
| SBI証券 | 0~3,000円 |
| 楽天証券 | 0~3,300円 |
| 野村證券 | 0~5,500円 |
手数料は銘柄や株数、証券会社間の移管かどうかで変動します。複数人で分割する場合は、事前に各証券会社へ問い合わせて詳細を確認しましょう。
証券口座開設未保有者の新設手順
相続人が証券口座を持っていない場合、新規口座開設が必要です。手順は以下の通りです。
- 証券会社を選定し、口座開設申込書を請求
- 本人確認書類(運転免許証等)・マイナンバーを提出
- 口座開設完了通知を待つ(通常1~2週間程度)
- 名義変更書類と共に株式を新口座へ移管申請
新設には時間がかかるため、早めの対応が重要です。
非上場株式名義変更の発行会社対応
非上場株式の相続では、証券会社ではなく発行会社や株主名簿管理人が窓口となります。手続きでは下記書類が求められます。
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 戸籍謄本・住民票
株主名簿管理人へ申請後、名義書換が承認されます。株主総会の議決権や配当の権利取得には名義変更が反映されている必要があるため、申請時期にも注意しましょう。
名義変更遅延リスクと放置時のペナルティ
名義変更が遅延した場合、相続人は株主としての権利を主張できません。また、配当や議決権を失うだけでなく、会社によっては強制的な株式売却や、未分割株式の管理費請求が発生することもあります。特に非上場会社では、経営への影響が大きくなるため、迅速な対応が重要です。
分割方法の比較と遺産分割協議の実務
現物分割のメリット・デメリットと実施フロー
現物分割は、株式を実際の形で相続人に分ける方法です。
メリット
- 株主優待や配当権利を継続可能
- 株価上昇時に資産価値を享受できる
- 株式をそのまま保有できるため、事業承継に有効
デメリット
- 株価変動リスクを各相続人が負う
- 株式数を割り切れない場合、単元未満株の端数処理が必要
- 株主権利や議決権の分散による経営への影響
実施フロー
- 株式の総数と評価額を確認
- 相続人ごとに分配比率を決定
- 必要書類(戸籍謄本、協議書等)を準備し、証券会社で名義変更
現物分割は、家族経営や特定の相続人に事業を引き継がせたい場合に適した方法です。
株式分割が割り切れない場合の端数調整
株式分割の際に割り切れない端数(端株)が発生する場合は、公平な分配が重要です。
- 端株は証券会社で売却し、現金化した分を相続人全員に分配
- 分配方法は遺産分割協議書に明記し、トラブル防止に役立ちます
- 端株売却時の市場価格変動にも注意が必要です
端数調整により、実質的な持分比率を明確にし、相続人間の納得感を高めることができます。
換価分割と代償分割の税務影響
換価分割は、相続株式を全て売却して現金化し、その売却代金を分配する方法です。代償分割は、特定の相続人が株式を取得し、他の相続人に現金などで補填します。
税務面の主な違い
| 分割方法 | 課税タイミング | 税負担の特徴 |
| 換価分割 | 売却時 | 売却益に譲渡所得税が発生。相続税とダブル課税になる場合も |
| 代償分割 | 分割時 | 取得者は株式評価額、現金受取者は代償分の課税対象になりづらい |
- 売却前に分割(現物分割)すれば、各自の持分に応じて税申告が可能
- 売却後に現金分配(換価分割)では、譲渡益が最大化されやすいが、課税も大きくなるため注意
それぞれの方法で課税対象や手取り額が異なるため、最適な方法を選択するには行政書士などの専門家への相談が不可欠です。
遺産分割協議書の株式記載サンプル
遺産分割協議書には、株式の分割内容を正確に記載することが必要です。下記のような書き方が推奨されます。
| 記載項目 | 具体例 |
| 銘柄名 | ○○株式会社普通株式 |
| 株主番号 | 123456 |
| 分割株数 | 100株 |
| 分割比率 | 長男60株、次男40株 |
| 端株処理 | 端株は売却後、現金分配 |
- 分割比率や端株の取り扱い、譲渡日などは必ず明記しましょう
- 必要に応じて証券会社や株式の種類・取得価格も追記すると手続きがよりスムーズです
正確な記載によってトラブルの防止や、後の税務調査への対応が容易になります。
相続株式売却の最適タイミングと税金対策
売却前相続と売却後相続の損得比較
相続した株式の売却タイミングによって、税金や最終的な手取り額は大きく変わります。特に含み益が大きい株式の場合、相続発生前に売却して現金で相続するケースと、相続後に株式を売却するケースとで課税額に差が出ることがあります。売却前に現金で相続すると相続税のみが課税対象となりますが、売却後に相続した株式を売却すると譲渡所得税と相続税の双方が発生する場合があります。
シミュレーション比較表
| 区分 | 売却前相続(現金化) | 売却後相続(株式) |
| 相続税 | 現金評価 | 株式評価 |
| 譲渡所得税 | なし | あり |
| 手残り比較 | 高い場合が多い | 含み益大は不利 |
このように、相続方法の選択によって最終的に手元に残る金額が大きく異なることがあります。
相続税申告後3年10ヶ月以内の取得費加算特例活用
相続した株式を、相続税申告後3年10ヶ月以内に売却する場合には「取得費加算の特例」を利用できます。これは、相続税として支払った一部金額を株式の取得価格に加算できるため、譲渡所得税の負担を軽減できる制度です。
特例の主な要件
- 相続税申告が完了していること
- 相続人が株式を名義変更後、3年10ヶ月以内に売却すること
- 特定口座・一般口座どちらでも利用可能
この特例を上手く活用することで、譲渡所得税の課税対象額を下げて、最終的な税負担を抑えることが可能です。
売却益計算と特定口座の取得価格引継ぎ
株式を売却した場合の譲渡所得は「売却額-取得価格-譲渡費用」で計算されます。相続による取得の場合、原則として被相続人の取得価額を引き継ぎます。特定口座で管理していれば、証券会社が自動的に取得価額を引き継ぐため、計算が容易です。
取得価額が不明な場合には、売却額の5%を取得価額とみなす「みなし取得価額」が適用されますが、実際の取得価額より税負担が増える点には注意が必要です。
取得価額証明の方法
- 被相続人の取引報告書や取引履歴を証券会社から入手する
- 証券会社に書類がない場合は、みなし取得価額(売却額の5%)を適用
譲渡損失繰越・配当控除の継続条件
相続した株式を売却して譲渡損失が出た場合、被相続人が行っていた譲渡損失の繰越控除は相続人に引き継がれません。配当控除も同様に、被相続人のものは相続人へは適用されません。
確定申告が必要となるケース
- 源泉徴収なし口座で売却した場合
- 譲渡益や配当所得が20万円を超える場合
申告漏れには十分注意し、必要な場合は期限内に必ず手続きを行いましょう。
新井孝典行政書士事務所では、日常生活や事業に関わる各種手続きのサポートを行っております。特に相続に関するご相談を多く承っており、遺言書作成や遺産分割協議書の作成、相続手続き全般を丁寧にサポートいたします。専門的な知識をもとに、お客様に寄り添いながら円滑に手続きが進むようお手伝いします。また、許認可申請や各種契約書の作成など、幅広い行政書士業務にも対応しております。初めてのご相談でも安心してお話しいただけるよう、丁寧にご説明いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。

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